ガルウィングはなぜ少ない?縦開きドアのメリット・デメリットを解説
井田康久です!
前回はガルウィングやシザーズドアなど縦方向に開くドアを解説しました。
一般的な車のドアは横開きで、縦開きのドアはあまり採用されず少数派です。
かっこいい縦開きのドアがなぜ採用されないのか?メリットとデメリットを通して解説いたします!
メリット:乗降性を良くする
車体の剛性をよくするためにサイドシルが太くて高い場合、乗降時にまたぐのが大変です。
また、縦開きのドアを採用するようなスーパーカーは車高も低いため、頭をぶつけないよう潜り込むように乗車することになります。
ガルウィングの場合、ルーフ部分も開くので頭をぶつける心配がなく乗り降りを可能としました。
引用元)メルセデス・ベンツ・300SL - Wikipedia
メリット:ドアパンチの恐れが少ない
一般的な横開きのドアは、開けたときに隣の車へドアをぶつけてしまうドアパンチをやる可能性があります。
上方向に開くドアならばその心配はありません。
まったく横に張り出さないわけではないのでその点は注意してドアを開る必要がありますね。
メリット:縁石に当たらない
縦方向に開くドアを採用する車はスーパーカーが多く、車高が低い車が多くを占めます。
そのため横開きにしたとき、高い縁石の場合ガリガリしてしまう可能性が大。
縦開きならばその心配はありませんね。
メリット:デザイン性
最大のメリットというか、縦開きドアの採用理由はデザインでしょう。
見た目のインパクトや非現実性は、なかなか手の届かないスーパーカーにとって重要です。
高性能でも見た目が平凡だったら魅力ゼロですよね。
引用元)ランボルギーニ・カウンタック - Wikipedia
デメリット:上方向のスペースが必要
立体駐車場など屋根があるところでは注意が必要です。
開けたドアが天井にぶつかったり、外に出られなくなるかもしれません。
デメリット:コストがかかる
シザーズドアでは構造上ドアを支えるのはドア前方のヒンジとダンパーのみです。
ドアの重量がここに集中するため、相当な強度とそれ相応の技術が要求されます。
ガルウィングもルーフでドアの全重量を支えるため強度と技術を必要とします。
結果としてコスト増加につながります。
※開けたドアを支え保持するパーツ
デメリット:手が届かない
車によってはシートに座った状態から上に開いたドアに手が届かないことがあります。
その場合、着座時にドアノブを持ちながら座るということが必要です。
最近では電動などで対策がされているものがあります。
デメリット:横転時にドアが開かない(対策が必要)
ひっくり返ってしまうと上開きのドアは開けることができません。
メーカーは横転時はドアのヒンジがはずれるようにするなど対策が必要です。
これはコスト増につながります。
引用元)マクラーレンセナ|製品概要|マクラーレン-McLaren
縦開きドアのメリットとデメリットを並べました。
縦開きのドアを採用するスーパーカーは高級車です。
デメリットとなるコストの部分なんて大した問題ではないのでしょう。
コストよりもインパクト、デザインの方が優先されています。
生産台数が膨大となる一般的な乗用車は、製造のしやすさやコストは重要です。
コストがかかる縦開きドアは見送られ、横開きドアが採用されているのですね。
縦開きドアは一般的な乗用車には採用されないデメリットがあるのと同時に、デメリットの部分も魅力となるような非常に贅沢なつくりであると思いました。