「脱ガソリン車」とは?ディーゼル、ハイブリッドは規制対象?調べてみた

井田康久です!

 

12月に入り自動車関連のニュースで目にするようになった「脱ガソリン車」。
「政府が2030年半ばにガソリン車を禁止」や「小池百合子都知事が2030年までに脱ガソリン」という方針が掲げられて話題となっています。
ガソリン車に規制がかかるというだいたいの内容はわかるのですが、同時に次の疑問も出てきました。
ガソリンと言っているが、同じく燃料を燃やし二酸化炭素を排出するディーゼルエンジンは規制の対象?
駆動も発電も担うエンジンを積んでいるハイブリッド車は規制の対象?
今回は「脱ガソリン車」とはどんな方針なのか調べてみました。


前提

脱ガソリン車の方針は政府が正式に発表したものではありません(12月13日現在)。
有識者による検討会が開かれ目標を打ち出したい意向」ということや「施策の一部がメディアに漏れた」というのが事実だそうです。
そのため、2030年前半、2030年半ば、2035年と期日の表現などがメディアによりまちまちです。


脱ガソリン車の対象は?

脱ガソリン車関連の記事に「ガソリン車」ではなく「内燃機関車」という表現がありました。
内燃機関とは以下の通りです。

シリンダなど機関内においてガソリンなどの燃料を燃焼させ、それによって発生した燃焼ガスを用いて直接に機械仕事を得る原動機をいう。

引用元)内燃機関 - Wikipedia

 軽油を燃料として燃やすディーゼルエンジン内燃機関に含まれるので、脱ガソリン車の規制対象と言えます。

また、「100%非ガソリン化することを目指す」「2030年半ばまでに新車販売を電動車とする」という表現もありました。
前者は100%ガソリンでなければよいので、モーター駆動もするハイブリッド車は脱ガソリン車の規制対象ではないと言えます。
後者の電動車とはハイブリッド車プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車が含まれるので、ハイブリッド車は脱ガソリン車の規制対象ではありません。


脱ガソリン車は実現可能か?

今回の脱ガソリン車以前から、2030年度目標の燃費基準が策定されています。
この燃費基準はCAFE方式*1で 平均25.4km/L です。

この燃費がどのくらいなのかというと、燃費が良く台数も売れるコンパクトカー「トヨタ ヤリス」で見ると以下の通りです。

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トヨタ ヤリスの燃費

出典元)トヨタ ヤリス | トヨタ自動車WEBサイト スクリーンショット

 

現時点で2030年度の燃費基準を達成しているのはハイブリッド車のみで、ガソリン車はあと約 5km/L の改善が必要です(WLTCモードが燃費)。
人気のSUVやミニバンではもっと燃費は悪くなるでしょう。
技術は日進月歩。2030年までにガソリン車の燃費が飛躍的に良くなるかもしれませんが、燃費基準達成のために全車種電動車化は以前からほぼ必然だったのでは?と思います。

結果として脱ガソリン車は実現する(実現しなければならない)と言えるのではないでしょうか。


実際問題実現は可能か?

海外では2030年にはハイブリッド車でさえも販売禁止という話があがってきています。
自動車メーカーは規制に合わせて電気自動車の開発に力を入れていくでしょう。
日本もいつかそうなっていく必要がありますが、実現は可能でしょうか?

電動車はガソリン車より高額です。地方の一人に車一台という生活では買い替えが可能でしょうか?
ガソリンスタンドもどんどん減ると思いますが、代わりに充電スタンドが設置されるでしょうか?(特に山奥など)
自宅で充電できるようにするにはそれなりの費用がかかると思います。
給油は数分で終わりますが、充電は時間がかかるので充電渋滞が起きそうです。

買い替えコスト、インフラの整備、充電時間の改善など、特にハイブリッド車から電気自動車への移行で問題が多い気がしています。

 

 

いかがでしたでしょうか?
前提の繰り返しとなりますが、脱ガソリン車の方針は政府が正式に発表したものではありません。
ですが、この脱ガソリン車の流れはいずれ来ます。
問題はたくさんあると思いますが、目標と期限を切るからこそ自動車メーカーは努力ができると思います。
エコのために、エネルギー自給率の低い日本のために、日本の自動車メーカーの躍進のために頑張ってもらいたいですね!

*1:企業別平均燃費基準のこと。車種ごとではなくメーカーごとに出荷台数を考慮した平均燃費を算出し、メーカーに対し規制をかける方式。たとえば平均燃費25.4km/Lの基準をクリアすればよいので、燃費基準を上回る車種をたくさん出荷すれば、基準未達のSUV、ミニバン、スポーツカーを販売できる。